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県産カカオ豆の発酵試験レポート その1

カカオ発酵

2016年より栽培をスタートしたカカオは、2021年1月に初収穫をしました。5-6月には収穫期を迎えたカカオを100個程度収穫し、初めて自社栽培のカカオで発酵試験を行いました。(5月に一回、6月に一回の計二回)
その様子をレポートします。

収穫したカカオ。赤、黄色と色づく。緑色は熟していない実でした。これも学び!変色しているのは虫などにやられた跡。中まで影響のないものとあるもの、両方ありました。これも学び!

カカオの発酵

チョコレートは発酵食品です。その発酵次第で、チョコレートの風味も変わってきます。味を決める大事なパラメータの一つが発酵であり、自社栽培するカカオをどのようなチョコレートにするのか、ノウハウを蓄積する必要があります。
初めての発酵試験ではいろいろと目指すことはあるのですが、まずはやってみないことには何もわかりません。自社栽培カカオの発酵スタートです!

実は2016年に、ベトナムから輸入した生カカオポッドを使って一度発酵試験をしています。その時の発酵データを参考として、今年行いました。

カカオの収穫

5月の晴れた日、カカオの収穫・発酵イベントを開催しました。
せっかくの収穫と発酵、自分たちだけで行うのではなく、多くの方と共有したいと思い、イベントとして開催、沖縄県内のみならず、県外からもお越しいただきました。こんなにも見てくれている人がいる、大変勇気をいただきました。

         
カカオを収穫。恐る恐る切り落とす。大きいもの、小さいもの、さまざま。

カカオ豆の発酵は、カカオパルプと呼ばれる白い果肉をエネルギー源として行います。カカオパルプは少しの酸味と爽やかな甘さがあり、食べるとカカオはフルーツであることを認識させられます。

カカオをカットすると、白い果肉に包まれたカカオ豆が出てくる。

発酵の流れとしては、最初に嫌気性発酵によりアルコールが生成され、その後攪拌により好気性発酵が進み、酢酸発酵が促されます。カカオパルプが発酵し、その内側にあるカカオ豆に浸透することで、カカオの発酵が完了します。
乳酸発酵などそれ以外の発酵も行われていますが、シンプルには上記の流れをイメージとして持っています。今後沖縄で発酵を何度も行なっていけば、たくさんの因子が発酵に影響することがわかってくるはずです。
経験とともに、もちろん色々な学びも通して、自分たちの技術とノウハウを蓄積していきたい、そのために一歩です。

さてさて、話は収穫に戻ります。
カカオは大小さまざまなに実っていました。発酵するにはカカオをできるだけたくさん必要とするため、一度にたくさん収穫する必要があります。
しかし栽培本数が限られるため、一度に大量に収穫することはできません。受粉タイミング、熟しタイミングは実によって異なるため、どうやって発酵にかける量を増やすことができるのか、一つの課題ですね。今回は収穫できそうなものを一斉に収穫しました。その数80個程度。大小さまざま、熟度も若干異なりましたが、思ったより数はありました。

カカオを収穫するという経験は、人生で初めて!という方がほとんど。そりゃそうですよね。収穫とは、それだけでワクワクします。
縦長のカカオの実はカカオポッドと呼ばれ、厚い外皮を割るとカカオパルプに包まれたカカオ豆が出てきます。カカオポッド一つあたり、20-30個ちょっと。カカオポッドが小さいこともあり、中のカカオ豆も未成熟なものも多くありました。
収穫して、開封して、その場でカカオ豆をお味見しました。
優しい甘さ、酸味があり、カカオパルプの味でした。
カカオにとっては当たり前の味、ですが食べる私たちにとっては、格別感動の味だったと思います。

このカカオ豆を一つのボウルに集め、発酵鉢へ移します。

カカオを割って中身を取り出します

カカオ畑で栽培する島バナナの葉っぱでカカオ豆を包み、天然酵母による発酵となります。
カカオ豆の量が少ないため、発酵熱量が上がりにくいため、外部より加温して、発酵環境を整えます。
この発酵環境は代表の父、川合源四郎が手作りしました。父は農芸化学博士、菌類の研究者であり、2016年に行なったカカオの発酵も一緒に行いました。
     

このあと発酵が終わるまでの毎日、カカオの発酵温度を測り、カカオパルプとカカオ豆のpH測定、カットテストなどを繰り返し、発酵の進捗を確認していきます。
さてさて、どうなるのか楽しみですね。

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