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カカオ発酵について 2022年1回目

カカオ発酵

天日干し 発酵後天日に当ててゆっくりと乾燥させます

今年もカカオ発酵を行うことができた。
これまでの経験をもとに、2022年はこんな発酵をしたい。という方向性を持ち、実施。
発酵というサイエンスを理解するためには、知識として学ぶことだけでなく、実践した回数がモノを言うのだというのが、終わった後の感想。
結論が先になってしまいましたが、今回の発酵について綴ります。

カカオ収穫・発酵体験ワークショップ

OKINAWA CACAO新工房オープン初日にお集まりいただいた参加者の皆さま

5月14日土曜日、田嘉里新工房オープンに合わせてイベントを開催。自社栽培するカカオを収穫、発酵に至るプロセスを参加者と一緒に行いました。
当日はあいにくの雨でしたが、県内は北部だけでなく中南部から、県外からもお越しいただきました。
OKINAWA CACAOの取組みを説明した後、早速カカオ畑へ。
畑を見学しながら、カカオの生育についても説明しました。カカオの花の構造、どうやって受粉するのか、品種や系統による実なりの違い、栽培の工夫や課題などをお伝えしました。まる6年栽培してきたあゆみは、私にとっては日常そのものですが、参加者にとっては新鮮なことのようで、みるみる笑顔になる様は、本当に嬉しいですね。

黄色や赤に熟した実を収穫し、その場で収穫。収穫した木によって味が違うこと、どの実が美味しいのか、そんなことも体験いただきました。
カカオ畑にはいくつかの地域から取り寄せた種で育てた木があるため、実毎に味が異なります。今回の新発見は、中米カリブ海から来た実が思いのほか甘く、美味しかったこと。実なりはあまり良くないのですが、実は美味しい!糖度が高いので、こういうカカオ豆ばかりならば、きっと良い発酵をするのだろうなと感じます。


収穫したカカオを開封、中にあるカカオ豆を取り出します。カカオ豆の周りについている白いものが、カカオの果肉「カカオパルプ」と呼ばれるもの。この果肉をエネルギー源として、カカオは発酵します。
カカオの熟度や品種によって果肉の味が異なるため、より良い品種を育てていくための参考にしています。

種から育てている実生苗のため、実って初めてカカオの系統がわかります。
系統がわかるようになった今は、接木を行いより良いカカオづくりを目指せるようになりましたが、実生苗は複数の遺伝子が含まれているため、個性が生まれ、それはそれで育てて面白くもなります。適度に交配させ、独自のカカオ生態系が生まれると面白いなと感じています。

さて、この収穫したカカオを発酵槽となる鉢に入れ、バナナの葉に包み、発酵を行います。
昨年はカカオの量が少なく、収穫した実の糖度や品質にばらつきがあり、なかなかうまく発酵が進みませんでした。そのため、今年はこれまで収穫してきたカカオを冷凍保管し、それを解凍、収穫したものと合わせて発酵にかけました。合計で7-8kg程度になったと思います。これでもまだまだ自然発酵させるには少ないのですが、昨年よりは改善した発酵となるはず。

バナナはカカオ畑で育てる島バナナの葉。全て集落の環境にあるものです。
これを発泡スチロールの箱の中に入れ、保温します。発酵温度が上がらない場合は、白熱灯でタイマーをセットし加温、発酵適温になるよう調整します。
外気温と発酵槽内の温度、そしてカカオパルプとカカオ豆のpHを測り、発酵の進捗を確認していきます。

発酵が進んでいくとカカオパルプが茶色くなり、溶け出していきます。アルコール発酵から酢酸発酵へだんだん変わっていくのですが、量が少ないためそのままでは進みません。今回はドライイーストを2日目に添加、その上加温し発酵を促します。50度弱の温度で数日、攪拌を繰り返しながら発酵進捗を見守っていきます。

カカオ豆のカットテストを行い、色が紫から茶色に変わっていきます。外皮のpHと豆のpHを測定、カカオ発酵槽全体ができる限り均一になるようにし、ここぞというタイミングで取り出します。
昨年は9日間でカカオを取り出したのですが、まだ発酵途中という出来だったので、今年は少し長めに。測定値と睨めっこしながら発酵終了、天日干しで乾燥、最後は機械乾燥し、カカオ発酵は終了となりました。
出来上がったカカオ豆は1.5kg程度。ローストして外皮を取り除くと、1kg未満となりそう。だいぶ少なくなってしまいました。
その理由はいくつかありますが、
・カカオ豆の実が小さいものも多く含まれていたこと
・冷凍保管していたカカオ豆が解凍する際水分がしみ出し、目方が減ってしまったこと
などを推測しています。
昨年からの改善として取り組んでいましたが、また新たな課題・反省点が生まれました。
色々と試してみて、どうすればうまくいくのかわかるようになるはずです。そのためにはカカオの発酵回数を増やすこと、経験を積み重ねることで見えてくることがあります。
今後は一回の発酵量を増やすことも大切ですが、少量で発酵できるよう、発酵経験を重ねて品質向上を目指したいと考えています。
知るのとやるのとでは大違い。やってみてわかることがたくさんあり、実践に勝る学びなし。
これからもカカオ栽培、発酵、チョコづくり、お客様とのコミュニケーションのサイクルを積み重ねながら、沖縄県産チョコづくりに挑戦していきます。
ぜひこの熱気ある現場に来てくださいね。カカオ畑での栽培プロセスも、地域素材を使ったチョコづくりも、それを味わっていただくことも、全て沖縄・やんばるの地域から生み出しているものです。
地域の可能性を存分に感じていただきたく、OKINAWA CACAOへ足をお運びくださいね。

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