OKINAWA CACAO REPORT 代表ブログ
8月に入ると夏も本番、時間と共に季節が進み、天候の変化が大きくなります。前半は日差しも強く暑い毎日、立秋が過ぎるとスコールのような局所的大雨(カタブイと言います)が始まり、下旬は雨が降ったり晴れ間を見せたり、そういう天気が続いて、少しずつ朝晩の気温が下がってきます。決して涼しくはないけど、多少は過ごしやすくなります。ただ、湿度はものすごく高いです。
個人的な感覚として、真夏は7月いっぱいまで、8月に入ると夏が終わりに近づく感じで、日没の時間も早くなり、ちょっとずつ寂しい気持ちになります。夜が長いのは、しんみりしますよね。
今年の夏は、ありがたいことにお客様も多く、忙しい時間を過ごすことができました。
昨年は8月頭に台風6号が襲来し、前半はほぼ売り上げが無し。流通も止まり、県外へ出荷することもできませんでした。
今年は台風が来なかったので、仕事としては決めたことを予定通りできました。昨年は台風で倒れた島バナナは今年豊作、カカオ畑のビニールハウスも影響なく、今のところ何事もなく夏が過ぎようとしています。
しかし、台風が来ないことで大きな問題もあります。それは海水温が上がりすぎること。結果として、サンゴの白化現象が起き、死んでしまう恐れがあることです。8月後半、大宜味村や国頭村の海岸付近のサンゴの大規模な白化現象が確認されました。数日で海水温が下がらないと死んでしまうと言われています。台風10号は沖縄の北を通り、過ぎていきました。次の台風予報では、沖縄本島に近づかないそうです。気候変動により、台風の進路が大きく変わっていることを肌で感じています。海水温も変わり、獲れる魚が変化したり、チョコレート業界の話題では、ガーナやコートジボアールでカカオの収穫が激減するなど、異常気象の常態化、いわゆる気候変動が起きているようです。私たちも変わっていく地球環境と向き合い、今までの常識ではなく、変わることを前提とした生活、仕事、幸せを追求していく必要があると感じます。簡単にはできないことですが、変化し続けることで、生きていきたいです。
8月、連日の猛暑により、カカオは枝葉を伸ばすものの、受粉はほぼしない時期となりました。ビニールハウス内の温度を測ると35-40度を指し、中に数分いるだけで汗が滴り落ちてきます。この環境ではカカオもくたびれるよなと思います。ビニールハウスの構造上、屋根の部分は閉め切られており、太陽で熱せられた空気が天井部分に滞留し、上部は更に高温、50度近くになっています。そのため、高温障害でカカオ上部は枯れてしまっています。
この状況を打開しようと、天井部分を開閉式にする工事を予定していたのですが、施工業者がなかなか来てくれず、ようやく今月末に工事をすることになりました。工事が終われば天井部分の熱も抜け、カカオも大きく育ってくれるかな。
カカオ栽培を始めて9年、ある程度の成長は見れるようになりましたが、安定した成長と収穫には、農業用ハウスの設備の良し悪しが大きく関わってくることがよくわかりました。カカオ一本あたりの面積、天井の高さ、換気と空気循環、日射量、土壌環境など、人間が植物の成長に関われることは環境づくりですね。これまではカカオの持つ生命力に助けられ、栽培をしてきましたが、今後はカカオの成長をサポートできるよう、栽培環境を改善していきたいです!
そこで課題となるのは、コストです。ビニールハウスを改修するにも、土づくりを行うにも、費用がかかります。いかにしてこの栽培コストを賄うことができるのか、今後の栽培については、経営力が試される状況です。
必要な設備を導入するために、必要な予算をつけ、実践する。そして収穫量に反映させること。この単純な投資対効果という考えに行き着くまで、8年の歳月がかかりました。沖縄で本当にカカオ栽培ができるかどうかわからない、できたとしても値段がつかない、そんな不安を挑戦と行動で跳ね除けるよう取り組んできましたが、ある程度収穫が見込めるようになると、次はスケールアップですね。今後も淡々と行動を重ね、情熱を持って沖縄でのカカオ産地化を目指します!
チョコレート商品開発を徐々に進めています。沖縄に誇りとこだわりを持って作るチョコレートとなるよう、日夜アイディアを巡らせ、素材を探し、加工方法を探求しています。沖縄のこだわりとは何か、沖縄らしさとは何か、沖縄だからこそできることは何か。
それを考えていく中で至ったのは、「Blue Zone」でした。健康長寿の地域、沖縄・大宜味。この地に根付く生活様式、食生活を掘り起こし、素材の力を堪能するチョコレートづくりです。
地域の畑で取れる作物や野山から採取する野草を活用し、健康長寿につながるチョコレートを作りたい。長く幸せに生きていきたい、そんな祈りにも似た想いをカタチにするものづくり。
まずは素材を探し、加工するところから始めています。昔からこの地域で食されている野草を集め、ドライリーフとパウダーを作り、カカオバターに漬け込んで風味を出し、チョコレートにしていきます。野草の風味を一つ一つ見るため、素材ごとのチョコレートをつくり、味わいを確認します。素材とチョコレートはどのような相性なのか、一つ一つを見ることで、素材の理解が深まります。
私たちの商品開発は、素材をどれだけ理解しているのか、それで良し悪しが決まります。どのような加工をするとどういう味が引き出されるのか。
どのように使うとどんな風味となるのか。収穫する時期によって、どのように味が異なるのか。
どこの畑の、どの地域の野草が美味しく、風味が濃いのか。
などなど、知ることは無限に出てきます。それを知るために商品開発を通じて、経験を積み重ね、よりおいしいものづくりへと昇華させていきます。
今月の定期便では、その試作段階のチョコレートを送ります。素材の味を感じることはできます。ここからおいしい!という味を作っていきますので、当社の商品開発にお付き合いくださいね!
沖縄の魅力は素材の魅力、それを生み出す人の魅力だと思い、仕事をしています。
仕事を通して多くの方と出会います。農業に従事する生産者の皆さま、それを流通させるスーパー営業マン、加工や調理をするシェフたち、生み出された商品を提供するサービスの方々、味わうお客様。
この生産からお客様の体験まで、全国津々浦々、そして世界中から人が集まり、素材の体験を行うことができる、それが沖縄の魅力なのだと感じています。
世界中から人が来るので、嗜好も多様です。沖縄伝統の料理に感動する方もいれば、ファーストフードに興味を持つ方もいるし、当店のチョコレートに興味を持ってくれる方もいます。多様な文化を持つ方々が沖縄に来て、多様さを結集したチャンプルー文化の沖縄でまた新たな化学反応を起こし、感動が生まれているように感じています。
だからこそ、人それぞれのこだわりや個性を、徹底して追求したブランドづくりをしても良い、それができる土壌が沖縄にあるのだと感じています。
今月オープンした、恩納村にあるレストランに伺いました。シェフはお世話になっている方に、凄腕イケメンと紹介していただいた時からのお付き合い。
自分で目利きして仕入れた食材を、一つ一つ丁寧に調理され、お出ししています。一皿一皿にこだわりの塊を感じ、とても美味しかったです。また行きたい。どんなお店にしたいのか、どんなお客様が来られるのか、経営に関するお話をしたところ、やはり沖縄素材の魅力を伝えたい、富裕層だけでなく、一人でも多くの人に味わってもらいたいという想いを語られていました。
値段は高すぎず、手間暇を考えたらリーズナブル、本当に素敵なお店です。ぜひ沖縄へお越しの際は、レストラン「Bon Cote(ボンコテ)」さんに行ってみてくださいね!
【最後に】
熱帯果樹協会沖縄支部総会に参加してきました。移転した沖縄県立農業大学校が会場で、大きな試験圃場、農業用ハウスなどを視察する時間もありました。
大きな施設を見ると、こんなハウスが欲しい、作りたいと考えてしまいます。新築を考えると建設費用はものすごく高くなります。でも何かやり方があるはず。カカオ栽培は、今後面積拡大を目指していきます。その時の課題が、土地の確保とハウス建設。道を切り拓くには、まず沖縄の方々と仲良くなることから。そんな歩みをこれまでも進めてきたので、これからも沖縄の皆さまと仲良くなり、地域資源を活用できるように成長してまいります!
このレポートは定期購入の方へ商品と一緒に送っています。ぜひ定期購入をご検討くださいね。