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沖縄県産カカオについて

カカオ栽培

カカオ栽培をスタートして9年目となり、今年も2度目の収穫シーズンを迎えています。
一度の収穫量はごく少量ですが、なんとか発酵できる程度の量は確保し、この秋は3回程度の収穫・発酵を見込んでいます。
収穫量が少ないことは今後も続く大きな課題であることは間違いなく、改善するには設備改善と面積拡大が必須です。
それでもこうやって毎シーズン収穫できるようになったことは大きな進歩であり、そこからチョコレートを作ることができるのは、よくやってるなぁと思うのです。
現在の少ないカカオ収量での発酵はバラツキが大きく、再現性が高くありません。
バラツキがあっても風味の方向性は似ているため、今年はロースト条件を同一にして、ロット違いのカカオ豆を混ぜてチョコレート作りをしています。
そうすることで、一定量の沖縄県産カカオのチョコレートができますし、出来上がったものが今年の味わいとなるからです。
今年のカカオはどうですか?
そう聞かれることも多々あるのですが、収量が少なく発酵のバラツキがあるため、残念ながら私はうまく言葉で表現できていません。
私の心の中では、沖縄県産カカオという原材料に様々な不安を感じている状況なので、いつも言葉を濁してしまいます。
カカオが採れても果肉(カカオパルプ)の糖度が低いと発酵がうまく進まないことがあります。なぜ糖度が上がらないのか?
胚が未成熟で薄っぺらなカカオ豆が採れることがよくあります。これは受粉の問題なのかな。寒さによる影響なのか。
少量での発酵なので、発酵品質にバラツキがあります。
天日乾燥をしたくても、収穫時期によって雨が多い時期だとカビてしまうリスクがあります。そのため機械乾燥をすることもあります。
ロースト条件は毎回試行錯誤の連続です。
ローストが甘かった場合、多少もったりした食感になったりします。含水率が高いのかもしれませんね。
チョコまで作ってその風味を評価してみて、ロースト、発酵、カカオ栽培まで遡り、改善するプロセスを繰り返しています。
振り返ってみると、品質が一定では無いということを、今はそれで良いのだと説明できないことが、私の不安要因なのかなと感じます。
私としては、これまで積み重ねたプロセスを経てできあがったものが沖縄県産カカオのチョコレートであり、それが今年の出来栄えです。
できたものが全てであり、それはとても大切な私たちの作品なのですが、世の中の評価というのは私にとってとても怖く、常に不安がつきまといます。
今年の味、沖縄の味、私たちの味。
そういった表現ができるようになるまで、作り続け、努力して自分をしっかりと認めていきたい。
来年のバレンタインでは、初めて沖縄県産カカオのチョコレートを商品化します。
素晴らしい挑戦をしていると思う反面、実際は不安も大きく、その不安を可視化して一つ一つ課題を乗り越えていきたい。
自分たちにとって、胸を張ってものづくりに取り組んでいるのか?
それが一番なんだろうな。
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