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OKINAWA CACAO REPORT 令和7年2月号

OKINAWA CACAO REPORT

沖縄も寒い冬が続いています。今年はとても寒く、沖縄に来て一番寒い冬のような気がします。最低気温は一桁になる日が数日続き、最高気温も10度程度と、東京の冬と比較しても遜色がないほどです。これだけ寒いとカカオの生育にも影響が出ており、寒さに弱い個体は葉っぱを落とし、いかにも元気がなさそうです。

今年の沖縄の寒さは寒気が南下していることが理由として挙げられます。全国的にも寒いですよね、雪も多いみたいですし。沖縄は亜熱帯に属しますが、冬場は中国の大陸から吹く北西の風が東シナ海で暖まりきらず、沖縄北部を直撃し、体感気温が低くなってしまいます。那覇や八重山諸島と比較しても、最低最高ともに3-4度ほど低くなることもあり、沖縄本島北部の環境は、カカオにとって厳しいところだと感じます。沖縄では気候変動と言えるほどの環境変化はまだ感じませんが、東北地方沿岸を流れる海流がうねり、海水温が異常に高いというニュースを聞きました。それによって海の中の生態系が変わり、陸上の気候も変わっているとのこと。地球温暖化の影響でカカオの北限が上がる、沖縄でも栽培できるようになると無責任に言う方もいますが、そうなったら他の環境も変わり、今栽培できているものができなくなり、生活も仕事も大幅に変わってしまうと思います。沖縄でカカオが育てば良いのではなく、いかに持続可能であるか、人も動植物も、豊かに幸せに生き続けられるのか。常にそういう視点を持って取り組んでいきたいと考えています。

バレンタインという繁忙期が終わりました。その後、2/17-21まで福岡・博多で行われたICCサミットというスタートアップイベントに参加してきました。Industry Co-Creationの略で、共に産業をつくる、一生懸命やり切る、全員対等、全員真剣というスローガンを掲げ、全国の素晴らしい起業家たちが切磋琢磨する舞台でした。当社はFood & Drink Awardというプログラムに参加、沖縄産カカオのチョコレートやドライフルーツチョコなどを試食、多くの方へプレゼンテーションをしてきました。何より良かったことは、他の経営者の考えや覚悟を聞く機会となったことでした。目的のために事業の仕組みを作り、日々奮闘して社会的インパクトを最大化しようと取り組み続ける姿に、私自身ももっと視座を高く、志に燃えて突き進みたいと気持ちを入れ替えることができました。今年は一層覚悟を決めて挑戦し、大きく成長する時間としていきます。どうぞ見守っていただけると嬉しいです。

ICC Food & Drink Awardの出展者や運営スタッフの皆様と。 本当にみんなすごいな!志を仕組み化する、そうやって社会実装していく。私たちの取り組みは何をどう社会実装していくことで、世の中をより良くできるのか、そう問い続ける時間となりました。

沖縄でのカカオ栽培と発酵のこと

この冬、寒気が入りカカオはたくさんの葉っぱを落とし、冬に耐えている状況が続いています。そんな中でも昨年11-12月ごろにつけた実を落とすことなくゆっくりと成長させる姿を見て、カカオもこのやんばるに馴染んできたのだなと感じています。

同じ沖縄県内でも、本島南部の那覇や糸満、八重山諸島の石垣島と比較すると、最低気温で3-4度、最高気温でも同じくらい冬場の気温差がある時があります。そう考えると、県内でカカオ栽培により適しているのは暖かい地域、南部や八重山諸島となるのですが、私はご縁とタイミングがあり、沖縄本島北部・やんばるで事業をしています。沖縄で一番寒いエリアでカカオ栽培ができれば、県内他の地域どこでも栽培可能となるはず!そんな高い志!?を持ってやっているのですが、この冬の寒さを体験してしまうと、やはり暖かい場所が良いなー。きっと成長も良いだろうなーと羨望の眼差しを送ってしまいます。

石垣島ではロイズ石垣がカカオ栽培にその昔取り組んでいて、多少の収穫はあったようですし、今でもいくつかの生産者が栽培に取り組み始めていると聞いています。冬の寒さが弱い分、当社の栽培より早く成長し、良い実りとなるのではないでしょうか。

先日福岡へ行った際、ウメヤブレイナリーさんが一昨年に始めたカカオ栽培の圃場見学をしてきました。直方市にあるのですが、二重のビニールハウス内で無加温栽培を実現していました。

ハウス内に入ると独特の温かさを感じ、この寒い福岡で、加温しないでカカオ栽培をやっていることに驚き、同時に頑張ってカカオが生きている姿にも感動しました。植物は人間と同じで、環境に適応しようと必死に頑張り、生きていく努力をしてくれます。その生命力に賭けて私は沖縄でカカオ栽培を続けていますが、なんと福岡でも!農業で積み重ねたノウハウは、カカオ栽培の北限域を越えていくのだなと感じています。

企業や自治体さんより、カカオ栽培の問い合わせをいただくこともあります。栽培自体は設備さえあればできるけど、どのように継続して経営していくのか、その観点に立ってお話ししています。目的をしっかりと設定し、それに向けてカカオをどのような手段で栽培し、継続していくのか。カカオ栽培をしたい方へお話しできることがあるかと思いますので、ご興味ある方は問い合わせくださいね。当社のカカオ栽培見学とセットでお話ししていますよ。

ウメヤブレイナリーさんのカカオ圃場。天井に見える薄い膜が保温効果を高め、室内は驚くほど温かいです。

チョコレート製造について

沖縄の素材とbean to barチョコレートを掛け算し、沖縄を味わうチョコレートづくりをしています。

昨年10-11月にパリで開催されたサロンドショコラに出展し、カカオ産地のこだわりと奥深さを感じ、今年はカカオ産地と沖縄の組み合わせをより深掘りしていこうと考えています。

そのためにはまず、カカオを知ること、産地や生産者の取り組みを知り、その味わいを楽しみ、既存の商品や沖縄の素材との相性を確認していきたいと考えています。

当店の看板商品である4種類の板チョコレート、カラキ、シークヮーサー、月桃、泡盛まるたは全てガーナ産カカオを使用していますが、例えば月桃チョコを他の産地のカカオを使用すれば、月桃の甘さの余韻とカカオのフレーバーを同時に楽しむことができ、より厚みのある風味を引き出すことができるのではないか、と考えています。

そのトライアルとして、昨年ブルーゾーン(Blue Zone)をテーマにしたチョコレートを作りました。ブルーゾーンとは、健康長寿の地域を指し、当店のある大宜味村がまさにその地域です。食生活を含めたライフスタイルが健康長寿の秘訣となっており、地域の野草をエクアドル産カカオ(アリバ種)と合わせ、風味と滋味豊かな味わいを実現したチョコレートです。そのままでも美味しいのですが、完熟シークヮーサーピールと相性がすこぶる良く、手が止まらなくなるチョコレートとなっています。

松屋銀座のバレンタイン催事では、そのブルーゾーンチョコレートをドリンクにしてお出ししたところ連日大好評でした。また地酒泡盛まるたをチョコドリンクに合わせると、これがまたクイクイ飲めてしまうほど口当たりよく、シークヮーサーピールとの相性も抜群と、お客様から大きな評価をいただきました。

カカオと沖縄素材の組み合わせは無数にあり、その楽しみ方も人それぞれです。美味しいと笑顔になるだけでなく、一緒に楽しむ人と幸せを感じることのできるチョコレートを、これからも作っていきます。

地域の話

沖縄の魅力を伝えようと9年間取り組みを続けてきました。ようやく今年のバレンタインで、沖縄産カカオのチョコレートを商品化、一つの節目を迎え、次の挑戦へアクセルを踏み込むタイミングとなりました。カカオとチョコレートで沖縄に新しい産業をつくる。そう志してスタートした9年前ですが、歩みを積み重ね鮮明なイメージを描くことができるようになったのは、先日参加した福岡で開催されたICCでした。

沖縄の魅力を伝えるものづくりを発信しよう、9年間の積み重ねそのものを味わってもらおう、そう考え、2024年収穫・製造分の沖縄県産カカオのチョコレート、パイナップルチョコレート、泡盛まるたチョコレートを持ち込み、数百名の来場者へ試食していただきました。Awardへの出展だったため、食の分野で会社経営をする審査員の方々にも評価いただく機会となりました。美味しさ、サステナビリティ、アルチザン(職人技)、ブランディング、想いへの共感という視点での評価。単に美味しいという評価だけでなく、想いや社会性、事業性まで5分という短い時間で評価されるという機会でした。

試食ではなく、事業プレゼン、プレゼンテーションに全てを詰め込むことができる、それを痛感できました。私は地域の人口減少と向き合い、地域の魅力を生み出す仕事で雇用を生み出し、担い手づくりに取り組んでいます。わざわざ地方へ来て、この職場で働きたい、そんな魅力あふれる仕事を作ることができたら、一人でも地域を担う人材を送り込むことができる。どんな地域にも溢れる魅力があり、それを生業にすることができる。そんな地域の可能性を伝えていきたい。それが私の原動力です。チョコレートは日本中世界中の人が愛する食べ物です。沖縄でカカオからチョコレートを作ることができれば、沖縄発のブランドを作ることができる、そのチョコで世界へ羽ばたくこともできるはず。そんな可能性の塊の事業です。今回ICCに出展して、この想いをまだまだ仕組み化、事業化できていないことがよくわかりました。一つ一つ整理して、再構築して、OKINAWA CACAOらしい仕事づくり、地域の価値づくりに取り組んでいきます。

今回一緒に出展を手伝ってくれたのは、沖縄の黒糖をブランディングしている宮崎さんと、起業前からの友人である竹内さん、雑草と土づくりの専門家です。これからも一緒に成長していくであろう仲間と出れたことはとても嬉しく、次回機会があるとしたら、会社のメンバーと一緒に挑戦したい、一緒に事業づくりをしたいと思います。素晴らしい機会を、ありがとうございました!

ICCに出展。沖縄産カカオで作るチョコレートをメランジャーでトロトロにし、出来立てチョコを試食としてお出ししました。美味しいものをより価値あるものへ。価値の伝え方、仕組みの作り方がものすごく大切な世界、それがスタートアップの世界でした。

最後に

バレンタイン後に福岡で過ごし、月末になって久しぶりにスタッフと揃って仕事をすることができました。一緒に仕事をして、お店を切り盛りし、チョコを製造し、お客様と話し、お昼ご飯を食べ近況を話し合うという、当たり前の時間は、永遠に続くことではないのだなと感じます。一年のうち、全員が職場に揃うことは限られますし、出張も多く、店舗で仕事をすることも少なくなってきました。だからこそ、全員揃ってお昼を食べる、そのために賄いを作ることはとても大切な時間です。やはり私は、目の前の人を大切にしながら仕事をして、生きていきたいのだと思います。大切にしたい人をどれだけ大切にすることができるのか、そもそも、大切とはなんだろうとも思いますが、きっとそれは、成長を共有できるかどうか、一緒に未来をつくれるかどうか、そういう関係になれるかどうかなのかと思います。

大切なスタッフ、家族、その先にいるたくさんの方々、そういう仲間に支えらえ、今日があります。改めて、ありがとうございます。2月で9期が終わります。続けていることに感謝ですね!

お昼時間は、みんなでお腹を満たし、会話をし、試作したものや色々なチョコレートを味見する時間。 この雰囲気から新しいものが生まれていく。本当にかけがえのない時間。

 

【チョコレート定期便 2月の内容】コースによって入るものが異なります。

・リュウキュウガネブスプレッド

・泡盛まるた ランゴ・オ・ショコラ

・琉大ハニーグラノーラ(スタンダード)

・黄金(くがに)のチョコレート(スタンダード)

・青マンゴーチョコレート(スタンダード)

・青マンゴーカカオケイク1(プレミアム)

・スイーツセット 泡盛古酒珈琲ティラミス、ムースショコラ(プレミアム)

・グラスフェッドジャージーミルクの生チョコレート(プレミアム)

・チョコレートドリンクの素(プレミアム)

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