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シークヮーサーの可能性と現実

ものづくり沖縄の食材生産地紹介

毎年この時期は、シークヮーサーを収穫する。

青い実は香りよし、栄養分よし、見た目よし

1年間を通じてチョコレートを作り続けるため、相当量が必要となる。と言っても収穫量で100-150kg程度、もう少し作れるようになりたい。と常々思う。仕上がったシークヮーサーのチョコレートは、香り、酸味、皮と種の苦みなどがカカオと絶妙に混ざり合い、本当に美味しい。

シークヮーサーは農薬を使用せずに栽培する、大宜味村のカフェ「がじまんろー」さんの畑のもの。自分たちで収穫に行き、必要な量を買わせていただく。

収穫用カゴに山盛り

収穫後、名護の加工業者にお願いし、洗浄・乾燥・粉末の工程を経て、100%丸ごとシークヮーサーのパウダーとなる。

シークヮーサーのパウダー 皮、果肉、種、丸ごと使う

このパウダーを、カカオ豆を磨砕する工程で加えることで、シークヮーサーの味わい溢れるチョコレートが完成する。できたてのトロトロしたシークヮーサーのチョコレートは、それはそれは大変な美味で香りもすばらしい。ぜひ味わって欲しいので、店頭ではタイミングよく来られたお客様に試食していただいています。

シークヮーサーの風味を味わうために薄く作る

シークヮーサーを丸ごと使い、スーパーフードと呼ばれるカカオ豆から作るチョコレートなので、体に良いのは間違いない。もちろん味も評価をいただいています。ぜひ食べてみてくださいね。

シークヮーサー生産現場の現状

シークヮーサーはノビレチンと呼ばれるフラボノイドの一種が非常に多く含まれ、これが血糖値の上昇を抑え、発ガン抑制や慢性リウマチの予防・治療、抗認知症の効果があるとされています。

10月頭に、TV番組「たけしの家庭の医学」で認知症予防に効果的と放送されたことから、シークヮーサーが市場で品薄状態に。一部で爆発的な販売量だったそう。

生産者への問い合わせも多いようなのですが、肝心のキロ当たりの単価は毎年微減。

「テレビで流行ってお店でいくら売れても、農家の手元に一円も入ってこないよ。」

と集落の飲み会で生産者が笑いながら言っていた言葉が耳から離れない。生産現場としては、安定して再生産可能な価格帯で取引されることが大切。計算できるし、将来の見通しもつく。単価が上がらないと、労働量だけが増える。生産者は高齢の方が多く、労働量の増加には限界がある。徐々に生産量も減り、生産者も減り、耕作放棄地も増えていく。そんなことが続いている地域の現状。

シークヮーサーが体に良い、健康に良い、という市場の評価だけでは生産が続かないという状況に、これからどんどん近づいていくと思う。どうすれば良いものを生産し続けることができるのか、それを流通側、消費側も一緒になって考え取り組まないといけないけど、なかなか難しいだろうな。いくら売れても生産者に単価で還元されない現状を見ていると。

当社は原則、生産者の言い値で買い取ることにしている。そしてできる限り、収穫などを手伝い、その生産者の畑や経営状態などを知ろうとすることを心がけている。そうすることで、いいものをこの先も長く使わせていただくことができるから。

自分自身でカカオ栽培をしているから、生産の安定、流通の安定、収支見込みの計画性の大切さは身にしみてわかるつもり。持続可能な生産が担保された上で、加工者や流通者が消費者へ提供するのはいいけど、それがなされないで加工・流通者に価格決定権があるという現状は、全く持続可能ではない。

シークヮーサーの機能性ではなく、生産現場と生産者にどれだけ目を向けることができるのか。生産者あっての食べ物の機能性。その順番を間違えてはいけない。シークヮーサーをカカオに置き換えて考えると、本当に恐ろしい未来が待っていると感じる。だからこそ、顔の見える関係を、質の高い人間関係を構築したいと思い、オキナワカカオは事業に取り組んでいます。

地域の将来を担っているという覚悟を持って、良いものを再生産できる価格で買い取り、持続可能な商売を実践する。その正直さで、これからも勝負していきたい。

地域の将来を担いたい。この土地・生産現場から生まれる価値は計り知れない

 

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